この単語だけ分かれば、建築構造の計算書が分かる!?
まぁ、ただ一般事項とアウトプットに、エコーデータ、エラー箇所を眺めたり・・・ふーんて見ては確認してる(フリ)しているだけなんですよね。。。
普通の低中層コンクリートのビルやマンションの構造計算は全体と各部詳細の崩壊と2つの視点から計算しています。1次や2次設計ともいわれています。詳細なことは、もちろん長年携わっている人にしか分かりませんが、誰でもこの程度の単語の意味で分かることが多いんじゃないかなぁ・・・って思ったことを書いてみます。(杭や超高層は除きます)
この言葉が分かれば(なんとなく)構造計算が分かる?
1.許容応力度設計
○標準層せん断力係数は 0.2
関東大震災(大正12年)の地震の最大加速度は0.3Gと言われています。
この場合、水平震度kは0.3になります。
- P=kw
- ・建物重量(W)の何割かの重さ(kw)が、水平力(地震力)として作用すると考える。
- この割合(k)を水平震度と呼んでいる。
- ・水平外力(P)=kW
そこで、極めて大きい地震の場合に、建物の主要構造部材が最大加速度0.3Gを超えないように設計すればいいとなりました。
しかし、関東大震災のような地震は希にしか起こらないので、比較的頻繁に起きる(中程度の地震)ではその1/3で良いとなり水平震度0.1になりました。
また、現在は0.2に引き上げられています。この水平震度のことを標準層せん断力係数と呼ばれています。
○許容応力度 短期と長期
破壊強度の1/3(現在は法令で各種設定されています)を材料の許容応力度と言われています。
許容応力度設計は、主要部材である柱・梁等が(最大)モーメントやせん断などの外力の力で、材料の許容応力度を超えない設計ということになります。
このとき、許容応力度/破壊強度を安全率と呼んでいます。この許容応力度には、通常の鉛直荷重に対する長期と、地震時や暴風時等に対する短期の2つがあります。
- 主要資材の例.
鋼材の破壊強度は、降伏点になります。長期は降伏強度の2/3(安全率1.5)、短期は長期の1.5倍=降伏強度(安全率1.0)が鋼材の許容応力度になります。
コンクリートの破壊強度は圧縮強度(最大圧縮応力度)になります。長期は圧縮強度の1/3(安全率3.0)、長期は短期の2倍で定義されていますので2/3(安全率1.5)になります。
これらを用いて、荷重を支える主要構造部をモデル化し、部材に働く応力(抵抗)を求め、その力に対抗できる部材断面を決めるのが許容応力度計算の考え方です。
この計算では、建物の崩壊がどのようにされるのかを考慮しないのでこの点が欠点です。
建物は、ある程度までは荷重を除くと元に戻るように弾性的な挙動をします。
荷重を続けてかけていくとコンクリートはひび割れを起こし、鉄骨では歪んでいきます(降伏点を超えて塑性域に入っている)。
降伏点を超えると鋼材は急激に伸び、変形して最後に崩壊します。この崩壊過程を考慮していないのが欠点になります。
- 崩壊しない建物にするには・・・
- ・崩壊しない建物にするには、剛性率、偏心率、保有水平耐力の確認が必要と言われています。
- ・常時荷重に対して許容応力度設計を行い、中地震時に損傷限界、大地震時に安全限界の設計を立てる必要があります。
2.構造計画
○剛性率
建物の高さ方向のバランスのことを剛性率といわれます。
建物のある階(層)が弱い(柔らかい)と地震時にはその階に集中して力が作用してその階から倒壊します。
この各階(各層)の剛性バランスを示す指標で、1.0(各層同じ)に近いほどバランスがよく、設計では0.6以上であることを確認する必要があります。
○偏心率
建物が地震でねじれる(ねじれ振動)と大変にもろく崩壊します。
建物重心にかかる地震力と反力(剛芯)の作用点の距離(偏心距離)が大きいほどねじれ振動が大きく起こります。
偏心率は、その階(層)にかかる地震力に対して、対抗する耐震要素(壁・柱など)の平面的なバランスの指標で、重心と剛芯が一致する0がバランスがよく、設計では0.15以下にする必要があります。
3.保有水平耐力
大地震時の標準層せん断係数は1.0(建物荷重と同じ水平力)とされています。
この(層)せん断力に対して、建物自体が保有していなければならない水平耐力を必要保有水平耐力と呼び、実際に保有している水平力を保有水平耐力と呼んでいます。
通常、この耐力は崩壊荷重をとして計算されます。
この保有水平耐力は、 形状係数×構造特性係数×層せん断力(係数1.0) で計算します。
○形状係数
偏心率に応じた割増係数×剛性率に応じた割増係数=形状係数とし、バランスの悪い建物に層せん断力を割りましして安全を確保します。
○構造特性係数
ねばりのある建物に応じて、層せん断力の低減係数を示すもの。
各階(層)の減衰・靱性を考慮して柱・梁・耐力壁・筋交いの種別を判別して0.3~0.55(RCの場合)の範囲で低減させる係数です。
で、これらを各層毎に計算して保有水平耐力/必要保有水平耐力が1.0以上であれば構造的にはOKになります。
建築をやっている人であればだれでも知っている初歩的なことばかり書きましたが、この言葉を知って構造計算書を眺めている人と知らない一般の人では同じ構造計算書を見ても随分と理解に差があると思います。




