耐震性能は震度7?
●『6強から7に達する程度まで』
建物の耐震改修をしていると・・・電話がきました。いや~簡単な質問ほど難しい。
国交省の記事(http://www.mlit.go.jp/common/000188539.pdf)に沿って答えましたが、ちょっと強引な答えかもしれませんね。
震度階で計算はしていない!
●震度階
建阪神淡路大震災後から、震度 5 ・6 に「強」「弱」がつきました。震度階は地震がもたらす被害の大きさ(の結果)を0~7の指数で表わします
地震の被害の大きさは加速度だけでなく、「周期」「加速度」「継続時間」から「計測震度」が作られ、たとえば「震度5」といっても、様々な同じ震度5の地震があります。ですが、被害度合は大体同じグループかなぁという感じです。
で、その震度階と設計の地震入力値は対応出来るのかなぁ…と思いながらの回答です。
●設計時点での「地震力相当」の入力値
地震により建物に入る加速度 ( 応答加速度 )≠ 地動加速度の 2.5 ~ 3 倍程度 ≠ 一次設計の地震力 ( = 建物の自重の 20% ) ≠ 地動加速度 80~100gal 程度 ≠ 気象庁の震度階の 5 強相当
二次設計の地震力 ( = 建物の自重の 100% ) ≠ 地動加速度は 300~400gal 程度 ≠ 気象庁の震度階の 6 強あるいは 7(6強を超えた程度?)
と地動加速度と応答加速度の関係はテキトーな関係ですが、それをさらに震度階につなげて想定している感じです。
●意味あるの?
震度7って凄い地震というイメージができあがっている以上、7(に近い)でも大丈夫という為には、このプロセスも有効なことかもしれませんね。
構造計算って、安全な建物をつくる目的の為の一つの「手段」です。単なる手段ですが、数字の1.0は日本人でも中国人でもアメリカ人でも1.0はわかり合える最強の言語です。
そのわかり合える数字の根拠が、実はテキトーに当てはめているというのが難しくしているのかもしれません。
過去の貴重な経験からの実態を実体のない数字で計算し、それをどの程度の指標なのか、皆がわかり合える数字で示すこと。簡単な質問ほど難しい・・・
●構造計算って何?
建物に(ある数値の)力が入った瞬間を写真のように切り取った時、その建物の状況を数値化 っていうのが、意匠ばかりしていた私にとっての構造計算に対する見方です。動的解析をすれば動画的に色々な状況が分かるし、震度階に適合できるような気もしますが。
建築基準法のいわゆる旧耐震設計(建物自重の 20% に相当する地震力に対しての許容応力度計算)を、新耐震設計法では1次設計と位置づけ、建物の耐用年数 (50年) 内に一度は遭遇する地震に対して建物が損傷しないとしています。これが「5強くらい”みたい”」です。
阪神淡路大震災(震度7)でもピロティなどの不安定な建物以外は倒壊がされなかったことから、旧耐震でも基本的には大丈夫と枠組みは継承され、新耐震設計法はその数値の不備を修正し根拠を求める「二次設計」が行われるようになりました。よって、従前から一新したというより積み重ねた改良版=新耐震みたいな感じに思えます。
二次設計は、500 年に一度くらいの大地震に見舞われても建物が倒壊しない(震度6強から7に達するまで)ことが求められます。
「7に達する」とは良く言ったモノで、震度階は7が上限なので7の強さは青天井(震度10や20がない)ですから、「震度7に耐える建物」と言える人はいませんしね。
「50年や500年に一度遭遇するかもしれない地震」の実在がなくイメージできない地震動を計算値に入力していることがわかりにくい原因かもしれません。
地震動の波形から、地震の加速度は大きさと向きを激しく変えながら建物に作用しますが、一瞬を切り取り静的に計算しても実体とは違うものなのがわかりにくいのかもしれません。
全ての建物を動的解析をかければもう少し分かりやすくなるかもしれませんが、今現在の建築の世界では費用的に現実的ではありません。
21世紀になって久しいですが、なにか新しい計算ツールがでてきても良さそうなものです。が、実体はローカルな ままの世界 のように感じます。
