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建築素材
「今の人は材料が分かっていない」
十数年前、仕事で中村外二工務店に行ったとき、伺った台詞です。「大学では材料自体のこと学ばせて欲しい」と仰っていました。
建築は素材でつくられます。
質感は素材自体からくる魅力、素材の組み合わせの魅力、空間の中にある素材の魅力などが、質感を感じさせる源のようにも感じます。
中国の五行説では、万物は木・火・土・金・水の5種類の元素からなるとされ、「互いに影響を与え合い、その生滅盛衰によって天地万物が変化し、循環する」という考えがあります。西洋の四大元素説(火・空気・水・土)よりも日本の建築を考えると合っているような気がします。
日本は、国土の2/3が森林であり、木材を古くから建築材料として扱ってきました。木は適正な林業がされれば循環再生が可能な点もこれからも使える材料として注目に値します。
木は材料としてみれば、柔らかいため加工がしやすく、軽量で、他の構造より省力で施工が可能です。構造体としてみれば、強度自体は鉄骨造や鉄筋コンクリート造よりも劣るとされます。事実、土圧を受ける木造を私は知りません。
ただ、繊維方向には強度が強く、鉛直に加重を受ける分には問題がありません。天然材で品質にばらつきがあり、温湿度・水湿分など水分に影響を受ける特徴のある材料でもあります。
工業製材としては戦後から使われ始め、JASの制定も80年代のことを思うと、これからも発展する余地が大きい、古くて新しい材料のようにも見えます。
個人的には、鉄骨(鉱物)のように土の下から取り出したものではなく、長年地面の上に生えていたモノであり、人間には感覚的に馴染みやすい質感があるように思います。
建築の材料は、木のように建てる現地で簡単に手に入らなければなりませんでした。
近代以前では、普通にある材料、普通に作れる材料としてレンガがありました。現地の土で焼くことから現地でしか出来ない風合い、馴染みがある材料でした。広島の世界平和記念聖堂(村野藤吾)は、原爆の犠牲者の為の施設ですが、これに広島の土で焼いたレンガをファサードに採用したことには深い思いがあるようにも感じます。
また、レンガ同様に石もよく使われてきました。石はどこまで重さを感じるかが質感のウェートを占めているように思います。逆にガラスは透明であることが新しい空間を産み出してきた材料です。重さを感じないことがガラスの特徴ですので、その点をどう生かすが使うポイントになるように思います。
そのガラスは金属で支えています。人類は鉄をはじめとする金属材料を地中から取り出し、高度な文明をつくりました。最初の鉄骨建築で有名なクリスタル・パレスは鋳鉄の骨組みをガラスの壁で構成した温室になっていました。その後、鉄は急速な進化を続け、今でも新しい材料が発表されています。
時代は進みフランスの造園家(植木職人?)が、花壇をつくるときにコンクリートに金網を入れRC造が発明されたとなっています。確か藤森先生の著書にもそのように書かれていましたが、RC(Reinforced Concrete ・ り いんふぉーすとぅ こんくりーと ・ 補強されたコンクリート)の材料であるコンクリート自体は、紀元前のイスラエル遺跡でも使われていましたし、パンテオン寝殿にも使われています。コンクリートに補強の鉄を入れることに何千年もかかったのも鉄の進化と材料への研究がなければ成り立たない事象だったのかもしれません。