摂食障害の特徴と治療法について

行動医学◆摂食障害の特徴と治療法について

摂食障害の特徴と治療法について

 摂食障害とは、「神経性食欲不振症(拒食症)と神経性大食症(過食症)の総称」である。正反対の症状で病態は同じ傾向を示し、拒食から過食へ症状が移行することが多い。

摂食障害と診断基準*1 されるのは、9割以上が女性で有り、30歳以下(10代がピーク)であるが、最近では30歳以上での発病もある。女性は無月経になる。体重や体型について、自分なりの判断で・基準の歪んだ認識を持ち、食行動の異常から、標準体重*2 から2割以上のやせ状態になる例など、体の疾患を持ち合わせていない状態でなる障害である。食行動の異常の病因論としては、心理的な面(成熟拒否や女性性の拒否、独立と依存の葛藤など)、ホルモンのアンバランス(中枢の摂食中枢の機能異常)による異常、心理社会的なストレスによる不適応行動(行動理論)、痩せていることが女性の魅力となる社会における文化的な背景(先進国や都市部に多く、開発途上国や郡部に少ない)が挙げられている。

 治療法としては、うつ状態の人も5%程度いることに留意すること、スモールステップで行っていく必要がある。まず激しいやせ状態であれば、栄養状態の改善が必要である。入院などの身体的治療が優先される。次に誤った学習や認知に対する行動の修正が必要である。食行動異常による誤った学習による不適切行動であれば、正しい行動を再学習し、体型に対する歪んだ認知であれば、認知行動療法などで修正する必要がある。また、家族関係に関わる問題が多い。この場合は、患者本人だけでなく、家族全体を治療の対象として治療を行う必要がある。他には、各種のうつ病と併存している場合が多く、身体療法(薬物療法など)の医療モデルだけではなく、心理社会的ストレスの軽減や、自分自身に問題点を向けるのではなく、問題自体に向き合えるよう、患者の成長を支援し自己実現を目指した成長モデル(自我の成長)のアプローチを治療に取り入れることも必要である。

注釈
*1  診断基準は、厚生労働省の研究班の診断による。この研究班の調査報告によると、摂食障害は年間2万3千人と推定され、約54%が拒食症、約28%が過食症、約18%が非特定とされている。治療開始後の4年後以上経過した追跡調査では、47%が全快、10%が部分回復と半数は回復するが、37%は依然として摂食障害で有り、7%は死亡していた。
  他の診断基準ではDSM-Ⅳ(1994 Eating Disorder)が有り、下記の分類分けが提示されている。
・神経性無食欲症(Anorexia Nervosa 拒食症)として、A:低体重(標準体重の85%以下)、B:肥満に対する強い恐怖、C:体重・体型に対する認識の障害、D:無月経。病状として、むちゃ食いで排出行動のない無制限型(AN-R)と、太りたくない思いから排出行動(嘔吐・下剤の乱用)のある、むきゃ食い・排出型(AN-BP型)に分類される。
・神経性大食症(Bulimia Nervosa 過食症)として、A:むちゃ食いの繰り返し、B:太ると嫌な為、不適切な代償行動を取る。C:上記が、3ヶ月以上(週2回以上)続く、D:太っていたら自分は駄目な人間などとの自己評価が体型に影響を与えている。病型としては痩せているか太っているかで分類分けされ、嘔吐や下剤の乱用を行う排出型(BN-P)と、過食・絶食と極端な行動を取り、排出行動のない非排出型(BN-NP)に分類される。
*2  標準体重としては、平田の方法やBody Mass Index(BMI)=体重/身長^2=22(19.8~24.2)がある。DSM-Ⅳでは、標準体重の85%とあるが、アメリカ人より日本人は、痩せている人が多いという文献が多数ある。厚労省基準では85%ではなく、80%とされている。