うつ病の特徴と治療法について

行動医学◆うつ病の特徴と治療法について

うつ病の特徴と治療法について

 うつ病の発症メカニズムは明確に分かっているわけではないが、性格的*4 若しくは脳機能として体質的な素因が、心理社会的ストレスや心身の過労などの環境要因と結びついて、発症するとされている。これらから、体質的な整えと影響を及ぼしている環境要因の整理が同時に必要である。発症の分類としては、身体・内因・心因などで分類*3 されている。心・体・脳と複合的な機能障害でありながら、神経症や統合失調症等ともオーバーラップする場合もある。

具体的な症状として、「ゆううつや興味・喜びの喪失等」の気分の障害、「意欲低下やおっくう等」の意欲の障害、「行動遅滞やひきこもり等」の行動の障害、「不眠や倦怠感・食欲低下等」の身体の症状が、一日の中や季節の周期で症状が起きる。

うつの精神状態*6 としては、8割以上が「抑うつ気分」とされる。他の症状の多い順に「興味の喪失・意欲低下(各7割以上)」、「思考力減衰・精神運動抑制(各約5割)」、「無価値感(約3割)」、「自殺願望(約2割)」とされる。この自殺願望のある点が、うつ病の怖い点である。このうつ状態では、脳の中枢神経のシナプス間隙においてセロトニンやノルアドレナリンなどの情報伝達物質が減少している状態が知られていることから、これらの情報伝達物質のうち、少なくなった物質をシナプス間隙に留めておく薬(抗うつ薬)を使用することや最近では行動療法などの心理的な療法も科学的に、身体的なうつ状態を改善する実績として認められる。

治療の原則は、慢性うつ病になると薬や行動療法などの心理療法も効果が出にくいことから、早く気づいて、早く治療する(早期発見・早期治療)ことが慢性化を予防できる点で重要である。また、十分な休養と効果の見込まれる抗うつ薬の確実な服用も重要である。また、考え方などの心理的な医療(心理社会的ストレスの軽減や、自分自身に問題点を向けるのではなく、問題自体に向き合えるよう、患者の成長を支援し自己実現を目指した成長モデル(自我の成長)のアプローチを治療に取り入れること)も必要である。

発症率は人口の3~5%(WHO推計)であるが、自身で認識していない軽度の症状やうつと診断されていない患者、病院に通っていない人を含めるとこの推計より多いと思われる。


注釈
*3 DSM-Ⅳの分類(Kielholz)では、身体因と心因との関係性から、身体の疾患からの影響の大きい脳器質性や症候性の気分障害を『身体因性うつ病』、心因の要素が更に多く、そうな状態と憂鬱な状態が重なる双極性の障害や憂鬱が続く大うつ病性の障害を『内因性うつ病』、身体より心因からの影響の大きい神経症性など気分変調性能障害や抑うつ気分を伴う適応障害を『心因性うつ病』と分類している。

*4 うつ病になりやすい3性格
・循環気質(Kretchmer,E 1921):社交的、善良、親切、明朗、快活、人付き合いのよい性格。活発な性格から、『そう』の状態と悲観的な『うつ』の状態が周期的に現れることから“循環”する気質と名付けられた。他人に同調する傾向が強く為、板挟みにあったり、他人に振り回されたりすることから躁うつ病になりやすい傾向にある。
・執着性格(下田光造 1941)」:仕事熱心、凝り性、生真面目、几帳面、強い正義感の性格。頑固で徹底的にしないと気が済まないので無理を重ね疲労困憊になるので躁うつ病になりやすいとされる。
・メランコリー親和型性格(Tekkenbach,H 1961):勤勉、献身的、過度の良心性、他人本位、強い責任感、対象の喪失感を強く感じる性格。執着型に近い性格で、秩序やリズムが乱されることを嫌いながらも他人に合わせようと自己主張のできないことからストレスが蓄積されたりする。